自己資本比率の盲点(2228シベール倒産から学ぶ)

企業分析

ラスク等のお菓子を製造販売している2228シベールが
2019年1月18日に民事再生手続開始の申立てを行いました。

 

俗に言う倒産です。
倒産という法律用語はないのですが、ここでは倒産と言います。

 

優待目当てに購入していた個人投資家も多くいたようで、
数千人が被弾したようです。

 

まさかと思ったり、
突然の倒産と思われた方も多くいたようです。

 

業績が悪かったとは言え、
2018年8月の本決算では、
自己資本比率は30%を超えていて、
直前の決算でも、28.8%ありました。

 

高い方とは言えませんが、
これだけ見ると、
一見すぐに倒産するように見えません。

なぜ倒産したのか調べてみます。

短期の資金繰り

倒産とは、払わなければならないもの(借入金や手形など)が
返せなくなったときに起こります。

 

つまり、支払うための現金(預貯金等も含む)がないということです。

 

短期的な支払能力があるのかという点では、
流動資産と流動負債を比較することが1つの目安になります。

 

直近の決算では
流動資産は約3億2000万円
流動負債は約8億6000万円

で、この時点であれ?って思わないといけませんね。

 

現時点で借金がチャラにできない状態です。
ただし、売上や入金などがある場合や、
勘定科目によっては問題ない場合もありますので、
内訳を調べてみます。

 

すぐに現金化できそうな資産(当座資産)の現金と売掛金の合計が1億7000万円

すぐに支払うかもしれない買掛金、未払金、短期借入金、1年以内返済予定の長期借入金の合計が約7億9000万円

どう考えても支払えそうもないような・・・やばいっす。

 

しかしながら、
銀行からの借入金の合計が5億8000万円なので、
銀行に待ったもしくは短期資金を融通してもらえれば、
倒産は防げそうな感じもします。

 

倒産理由には2019年1月18日に弁済予定の債務が手元資金では支払うことができなかった旨のことが記載されています。

 

買掛金や未払金はおそらく仕入先などが考えられますし、
単位も億まではいかないと思われるので、
手元資金で支払いができないような金額ではない気もします。

 

となると、銀行への返済か約束手形かということですが、
勘定科目には支払手形ということが書かれていないので
手形はないとすると、
銀行の返済の可能性が大きいと考えてみました。

 

社長は山形銀行出身ですので、
銀行とのつながりはありますから、
ファイナンスに関しては知識があると思いますが、
それでも、倒産してしまうとはおそらく銀行もこれ以上の貸付が難しいところまでいっていると判断し、
銀行も見放されたと言えるかもしれません。

 

経営が厳しい状況なのに賞与を支払ったりしていますので、
経営陣の経営能力を疑います。
さらに現場を知らないような人が社長をやってもだめなんだと思います。

 

自己資本比率について

自己資本比率は、総資本に占める自己資本の割合を示しますが、
自己資本と他人資本の割合もわかります。

他人資本は、ざっくり言えば、借りているお金です。
自己資本は30%とすれば、他人資本は70%です。

 

さて、問題は、この自己資本ですが、
ざっくりいうと、会社を作るためのお金と今までの利益の合計です。

会社をつくるためのお金は株券と交換します。
それをもっている人は株主で皆さんご存知のとおりです。

 

自己資本は自己資本というお金がどこかにあるわけではなく、
何かに使っています。

 

シベールの場合は、
有形固定資産が大きいことから、
おそらく、建物や土地などに変わっていたようです。

 

利益余剰金が多いことから、
過去はとても優秀だったのではないかと思います。

 

どういう経緯でそうなったか調べていないので、
過程の話ですが、
優秀だったからこそ、
過剰に設備投資をしてしまったのかもしれません。

 

過去に利益を出していても、
現金預貯金を手厚くせずに有形固定資産に変わってしまったような場合、
自己資本比率が高めに出てしまうことが、
建物や設備はすぐにお金にすることが難しく、
建物や設備は二束三文であることも多いことから、
何かあったときにこういった事態になります。

 

上場企業ではあまりないかもしれませんが、
黒字倒産ということもありえますから、
自己資本比率を過信せず、
バランスシートやキャッシュフロー計算書などは目を通しておきたいですね。

 

ではでは~

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